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飲酒同乗者の責任

弁護士が書く交通事故豆知識 4

近時、飲酒運転に対する取り締まりや罰則が厳しくなっています。

 今日は、Aさんが会社の同僚Bさんと飲食店でお酒を飲んだ後、Bさんが運転する車で家まで送ってもらっていたところ、Bさんが歩行者をはねてしまった交通事故のケースを取り上げます。
 この場合、お酒を飲んだ経緯や、送ってもらった経緯も影響するため、一概にはいえませんが、Aさんが運転を一切していなくても、Bさんの飲酒運転による事故に寄与したとして、歩行者に対する損害賠償責任(民事責任)を負う可能性があります。
 また、少なくとも、運転手が飲酒していることを知ったうえでその車に同乗する行為は、道路交通法上に違反しており刑罰の対象となります(同法65条4項、117条の2の2第6号、117条の3の2第3号、刑事責任)。

 それでは、AさんがBさんと飲食店で飲酒し、酒に酔っているBさんが運転して帰ろうとしていることを知りながらそれを止めずに別れた場合で、Bさんが事故を起こしてしまった場合はどうでしょうか。
 この場合、一緒に食事をとっていたとはいえ、事故を起こした車に同乗していたわけではないので、さすがに他人の行動にそこまで責任を負うことはおかしいという考え方もあるでしょう。
しかし、現実には、このような場合であっても、Aさんが損害賠償責任を負う可能性があります。
 実際の裁判例においても、類似の事案において、飲酒運転者と一緒に食事をしていた人物の損害賠償責任(民事責任)を認めたケースがあります(東京地方裁判所判決平成18年7月28日)。
 もちろん、Aさんがどの程度Bさんの飲酒に関与していたのかということや、その場にいた人数や互いの関係性など細かい事情によって結論は変わるでしょう。しかし、いずれにせよ自分自身が飲酒運転をしていないからといって責任を負わないとは言い切れないのが近年の傾向であることは確かです。
 そして、刑事責任の点についても、「(酒気帯び)運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」(道路交通法65条3項)との定めがありますので、Aさんの行動は刑罰の対象にもなります(同法117条の2の2第5号、117条の3の2第2号、刑事責任)。

 さらには、最初のケース、二つ目のケースいずれの場合も、Aさんが飲酒運転を唆(そそのか)したものとして、免許取消や、免許停止の処分を受ける可能性もあります(道路交通法103条1項6号、行政責任)。

 このように、飲酒運転については、飲酒運転をした本人は当然のことながら、その人が飲酒運転するであろうということを知ったうえで一緒に飲酒した人にもさまざまなペナルティがあります。
 誰かと一緒にお酒を飲むときに、その人が車を運転する可能性があるとわかった場合は、その人だけの問題でなく、自分自身の問題ともなりうることにお気をつけください。

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